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【ネタバレあり感想】移り行く時代の中で淘汰されるヤクザの行く末とは?『ヤクザと家族』

今回観た映画がこちらになります。

ヤクザと家族

引用元:映画.com

感想 (ネタバレなし)

ここ最近で一番面白い映画でした!時代の変化に適応せざるを得ない組織としてのヤクザの在り方と、個人としてのヤクザの想いが交錯しながら進んでいく切ないストーリーに心打たれた。

”ヤクザと家族”というタイトルのように、ヤクザに入った主人公”山本賢治”が3つの時代を経て、家族への考え方が変わっていくストーリーです。

最初はヤクザがオラオラして、「喧嘩上等!!」みたいな感じで暴れまくるような映画かと思っていましたが、そういう暴力的なアツい映画ではなく、1人1人の想いが胸に刺さるようなハートフルな映画です。

個人的にも超おすすめですので、未観賞の方は是非、ここでブラウザバックして観賞下さい!

以下、ネタバレあります。

 

感想 (ネタバレあり)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆/10

“山本賢治”演じる綾野剛の演技がカッコ切なく最高でした。最初はヤクザが淘汰されるなんて自業自得だ!と思っていましたが、人それぞれ色んな想いがあって生きているんだなと強く心打たれた。山本の心の拠り所を探し続ける哀愁が今でも脳裏にちらついてしまい、ずっと心に残る映画だなと感じた。

これまじ名作ですわ。

先ほどから口酸っぱく書いてますが、この映画マジで最高でした!

映画館のバイト時代の後輩におすすめされて観た映画ですが、マジでナイスチョイスです(笑)

ポスターにも書いてある通り、本作は3つの変わりゆく時代を舞台に、ヤクザとしての在り方が変わっていくストーリーになっています。

書きたい事が色々とあるので時代毎に感想を書いていきます。

●1999年

覚醒剤で父親を失い、暴力と犯罪で毎日を生きてきた山本が、とあるきっかけで柴崎組に入り、柴崎博と父子の盃を交わします。当時19歳の山本はここでヤクザ入りを果たします。

目標もなく暴力や犯罪で毎日を過ごしてきた山本に初めてヤクザという家族ができ、自分の心の拠り所を見つける事ができたというストーリーです。

僕は本物のヤクザを直で見たことがないのであんまり知りませんでしたが、こんなに派手な喧嘩を街中でやるものなのかと、、ちょっと引いてました。

凄い盛大に父子の盃だの、礼儀作法など堅苦しい事してる割には外では好き勝手犯罪に手を染めながら暴れてるんだ、へーーー、と全然共感できませんでした(笑)

●2005年

柴崎組に入り、6年が経ち25歳となった山本はヤクザの世界でも男を磨き、まだまだ若手ではあるものの、柴崎組の中核を担う存在になっていました。

柴咲組は繁華街の店を経営し法外な料金せしめるも、裏で警察を買収する等して上手く時代を生き抜いていました。つまりヤクザ黄金期です。

田舎に住みの非リアな僕からすると、「すげーー、こんな世界あるんだ!」と感動する一方で、法外な店を経営するも、そこに行く客もwin-winだからいいんじゃねと思いながら部外者目線で達観していました。

そんなこんなで自分の居場所を見つけ、順風満帆なヤクザ生活を過ごす山本でしたが、2つの大きな出来事が起きます。

「大原の死」と「由香との出会い」です。

・大原の死

以前から柴崎組との因縁関係にあった”侠葉会”との争いで、山本の子分であった大原が殺されていまいます。

山本にとって、初めての家族の死です。(以前父親も亡くなっていますが、、)

この事件をきっかけに、順風満帆だった生活に狂いが生じ、山本の心に復讐心が宿ります。

惜しい人程すぐ亡くなるとはこういう事だな、、と感じるシーンでした。ヤクザに入りたてで、まだまだ若く純粋で笑顔が絶えなかった子分が真っ先に抗争の犠牲になってしまい、胸が締め付けられる想いでした。大原が亡くなったと気付いた時の山本の表情がとても悲しく、今も脳裏に浮かびます。

映画の冒頭では、ヤクザなんて淘汰されて当然だろ!と思っていましたが、もう完全にヤクザの一員のような気持ちで一緒に悲しい気持ちになっていました。

決して正しいといえる生き方ではないかもしれませんが、山本のように心の拠り所を探してヤクザに入る人もいるのかと思えば、あの純粋無垢な大原も何かを探してこの世界に入ってんだな、、と切ない感情になりました。

・由香との出会い

一方で、柴崎組が経営しているキャバクラで山本は、由香という女性と出会い、恋に落ちます。

あれだけオラオラしている山本が、めちゃめちゃ不器用な恋してて謎のギャップを感じながらも、山本はもう一つの家族を見つけかけます。

柴崎との会話で「女でもできたか?」という問いに、照れながら「そんな感じです、、」と答える山本でしたが、、、え、あれ付き合ったっていうの!?ちょっといい感じになってはいたけどだいぶ一方的やったくね!?

、、という非リアのツッコミを入れつつも、山本は由香に猛アプローチをかけます。

しかし、山本は大原の仇である侠葉会の加藤を殺し、刑務所に収監されます。

ヤクザとしての家族と、家庭としての家族を天秤にかけ、山本はヤクザとしての家族を取り、大原の敵討ちを選んだという事ですね。逮捕直前の柴崎との短い時間は、本当の家族はこっちだったんだと感じさせるようなシーンでした。

この時僕は今後の展開が読めなさ過ぎて、映画に没頭していました。

●2019年

そして14年の時が経ち、山本39歳。出所しました。

時代の変化は山本が思っていた以上に早く、ガラケーはスマホに変ったように、街並みは以前の面影もありませんでした。山本にとって特に大きかったのは、変わってしまったヤクザとしての生き方です。

時代はヤクザを淘汰され、年老いた残党5人が残してあとは辞めてしまっていました。もうあの頃とは違い、社会がヤクザを追い詰め、繁華街は衰退し生きていくので精一杯の暮らしをしていました。頭である柴崎も癌により以前のような威勢はなく、余命を過ごすような入院生活をしていました。まさにヤクザ社会の終わりでした。

このシーンは想像もしていなかったため、かなり衝撃的なシーンでした。時代というものはこんなに残酷なものなのかと感じました。

一般的なサラリーマンである僕も、よく「昔とは働き方がずいぶん変わった」と耳にしますが、この映画を観ていると、たかだか社会人歴数年の僕でも確実に変わっているのが目に見えて分かりました。

柴崎に「お前もうち辞めて、本当の家族を作れ」と言われた事をきっかけに、山本はヤクザを辞め、14年前に恋した由香を探し出します。

元柴崎組の仲間だった紺野のはからいもあり、山本は由香と再会することができました。ここで衝撃的な事に、由香はまだ結婚していないどころか、14年前に山本との娘を宿しており、既に14歳の娘を持つシングルマザーとして生活していました。由香は山本との再会を拒んでいましたが、山本の真剣なアプローチに折れて一緒に生活するようにまで至りました。

思えばこのシーンが一番幸せなシーンだなと思いました。ヤクザとしても自分の居場所を見つけ、順風満帆な生活を過ごしているようにも見えましたが、裏では復讐だの喧嘩だので騒々しい毎日を過ごしていました。やっと心落ち着く親子3人の、家庭としての家族という安らぎを手に入れ、幸せな毎日を過ごします。あぁ、ここで終わってハッピーエンドでも良かったのに、、(笑)。ここで終わらないから深い映画なんだなと感じましたね。

山本の幸せな生活は束の間、山本が元ヤクザという事が世間にばれてしまい、由香は”元ヤクザの愛人”、娘は”元ヤクザと娘”というレッテルを貼られ、世間から迫害されます。転居を余儀なくされた由香は、「もう二度と私たちの前に現れないで。」と泣きながら山本に伝えこの幸せな生活に終止符をうちます。

ただ、普通の暮らしを求めていただけなのに、それを許さない社会が山本の幸せを奪うシーンはとても心苦しくなりました。山本が知っている時代は過ぎ、SNS社会になった事で、情報は瞬く間に広がり、元ヤクザという一生はがれないレッテルを背負う事になってしまいました。

最近のニュースでも毎日のように政治家や芸能人が淘汰されているのを目にします。どれだけ積み上げてきた功績もたった一度のミスが世に広がる事で失墜している様を見ていると、「いい気味だ!」と思っていた自分もいましたが、この映画を観た後だと果たしてそれだけが彼らの人生なのか?と思うようになりました。

確かにニュースで淘汰されている政治家や芸能人、そして元ヤクザの山本がしていた事は決して許される事ではありませんが、それで人生を狂わせる一生消えないレッテルを貼られ、傍観者の僕たちはすっきりしているだけで良いのか?と考えるようになりました。少なくとも、山本のように心の拠り所を探しながら道を踏み外してしまった人もいるんだなと。本当に怖い社会になったんだなと改めて感じました。

何もかも失ってしまった山本は、かつての仲間であった紺野の逆恨みにより、殺されてしまいます。

山本の娘と山本を慕っていた少年が、桟橋で出会う最後のシーンは、山本がこの時代を生き抜いて残した2つの意思のように感じました。最後まで心が落ち着かない映画でした。(いい意味で)

まとめ

珍しく長々と書いてしまいましたが、それくらい心に刺さる名作でした。また観よう。

一般市民からしたらヤクザと家族という相反するような言葉のタイトルですが、ヤクザも家族の在り方の一種であり、また、ヤクザ1人1人も人間らしい生き方を望んでしまうんだなと感じました。

若い頃は色々な生き方があると言えど、年を取り世界の仕組みがある程度分かった頃に求めるのは家族なのかな、とも思いました。

色々な感情が沸々と込みあがってくる映画だったので上手くまとめられませんでしたが、それほど深く、感動する映画でした。あと綾野剛の演技が凄すぎて一気にファンになりました。

マジでおすすめですので未観賞の方がいれば是非観賞して下さい!

以上!!!